「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2019 三井不動産カップ」第2戦もチャイニーズ・タイペイに81-58と快勝したAKATSUKI FIVE女子日本代表。茨城大会のベルギー戦に続き、この埼玉大会もチャイニーズ・タイペイに2連勝挙げ、今年の三井不動産カップは負けなしの完全優勝。MVPはチーム最多の15点、7リバウンドを記録した髙田真希選手(デンソーアイリス)が選ばれました。
「MVP受賞は素直にうれしいです。しかし、これはチームで戦っているので、自分の力ではなく周りのサポートがあっての賞だと思っています。(贈呈された東京ミッドタウン日比谷商品券は)みんなにも少し分けたいです」(髙田選手)
第1戦後の記者会見では、反省点ばかりを挙げたトム・ホーバスヘッドコーチ。第2戦後は「初戦を32点差(91-59)で勝利しましたが、いつもは2試合目にモチベーションが落ちてしまいます。しかし今日は最初からディフェンスがハードにでき、相手もオフェンスのリズムをうまく作れなかったです。今日のディフェンスの出来が、一番うれしかったです」と笑顔を見せました。
24秒間シュートを打たせることなくターンオーバーを誘い、相手の攻撃の芽を潰していく日本のディフェンス。上出来すぎた反面、ポイントガードの町田瑠唯選手(富士通レッドウェーブ)は「24秒バイオレーションになったことで、ディフェンスからブレイクという形をなかなか作れず、初戦ほど走ることはできなかったです」という考えもあるようです。スピードを生かしながらコントロールする町田選手は、久々に先発メンバーとして活躍し、調子を上げています。
現在の女子日本代表は、どのポジションでも3Pシュートを狙うスタイルを目指しています。髙田選手は2戦を通じて1本しか決められませんでしたが、積極的に5本の3Pシュートを放ちました。同じく185cmの谷村里佳選手(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)は2戦目に出場し、2/5本を成功させています。今大会は初戦が27.6%(8/29本)、第2戦は25.8%(8/31本)とその確率は低かったですが、「修正できる」とホーバスヘッドコーチも心配はしていません。3Pシュートも、2Pシュートもバランス良く30本前後打つことを求めていました。
シューターの宮澤夕貴選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)は、「2試合とも3Pシュートの確率が悪く、自分自身が修正していかなければならないです」と課題として把握しています。もう一人のシューター、藤髙三佳選手(トヨタ自動車アンテロープス)も確率こそ低かったですが、初戦は1/6本、第2戦は2/7本と自分のリズムで打てていることに自信を持ちます。「オフェンスではしっかりスペースを取れてはいます。逆に、スペースを取り過ぎてインサイドが空きすぎてしまうこともあります」とアウトサイドに人が寄ってしまう傾向も否めません。「ペイントにまず入らないとオフェンスのリズムが生まれないので、そこはベンチメンバーで出ている時間帯の課題です」と藤髙選手は続け、それを解消するためにも密なコミュニケーションが必要です。
女子日本代表が目指すスタイルを40分間遂行するためには、ベンチメンバーの活躍が欠かせません。藤髙選手もその一人であり、「先発メンバーががんばっている分、自分たちベンチメンバーがつなげなければいけないし、5人だけでは戦えないです。メンバー全員で気持ちを途切れないようにしないとアジアでも、世界でも戦えません。ベンチでも気持ちは常に熱く持っています」と準備し、コートに出たらディフェンスからその熱さを表現することを意識していました。
9月24日よりインド・バンガロールで開催される「FIBA女子アジアカップ2019」まで、あと1ヶ月を切りました。昨年のFIBA女子ワールドカップ2018とともに、先日行われた海外遠征でも中国に敗れており、リベンジに燃えています。また、FIBAランキング3位のオーストラリアは、まもなくプレーオフがはじまるWNBAのスケジュール次第ではフルメンバーで臨んでくることも想定されます。アジア3連覇中の日本包囲網が敷かれる今年のFIBAアジアカップ2019。「流れが悪くなったときにどう立て直すかを突き詰めていけば世界と戦えると思いますし、アジアカップでも通用します」という宮澤選手は自らのスタイルを信じ、それを貫いていくだけです。